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今野敏      「疑心」(新潮文庫)

 竜崎、伊丹、小学校同級生コンビシリーズ第3弾。

 確か、「初陣」で警察庁警備部長の藤本が、堅物竜崎のところへ、畠山美奈子というキャリアで美人の部下を送り込んでやる。しかも美奈子は、竜崎のことを気に入っている。これであの堅物、原理原則の変人竜崎も柔らかくなるだろうとほくそ笑む場面がでてくる。
 この作品はあの「初陣」のほくそえみにつながっていた。

 アメリカ大統領来日に合わせ、一介の大森署署長の竜崎に方面警備本部長の辞令が下る。そして藤本の計略により畠山美奈子が本部長の秘書として派遣されてくる。

 竜崎はもちろん妻も子供もいる。人間は理性がある唯一の動物。いろいろな感情、本能を理性でコントロールできないのはきちんとした人間ではないというのが竜崎の信条。更に人間にはなすべき優先順位がある。竜崎にとっては「国家、国民を守り抜く」というのが最大のなすべき優先順位トップであり、恋愛は彼にとって優先順位は圧倒的に低い。

 ところが、美奈子がやってきてから、完全に魂を美奈子に取り込まれてしまう。これではいけない、俺らしくないと思っても、誰かが美奈子と話をしているだけで嫉妬心がわいてくるし、夜も美奈子が浮かんできて眠れなくなる。本部長としての仕事もおろそかになる。

 そのうえ、相談に宿敵伊丹のところに行くと、「恋愛すればいいじゃないか」とけしかけられる。
 竜崎の美奈子への揺れる心情、それに伴う言動が初恋のように初々しく面白い。

 警察小説に初恋の雰囲気を入れる今野の大胆さに驚く。さらに、ちゃんとミステリーとして物語は進み、最後にはきっちり解決させるところもよく出来上がっている。

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| 古本読書日記 | 18:38 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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