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小杉健治     「失踪」(集英社文庫)

 若い時分、主人公の教師が教え子と過ちを起こす。その子との別れ話が上手くいかない。連れ込まれたラブホテルの踊り場で言い合いになる。教え子が足を滑らし、踊り場から落ち死んでしまう。自分ではない別の教え子と同い年の少年が、犯人に見立てられる。そこに追及捜査が集中したため、教え子殺人の追及は先生にはなく、事件は迷宮入りとなる。

 先生は、そこから人間を変え、札幌に移り、評判の良い先生として教育一筋の人生を貫く。賛辞は多くの教え子や、同僚に及び、国から表彰を受けることになる。

 そんなとき先生はアルツハイマーに罹る。記憶がどんどん失われていく。自分の言動がおかしくなり全く自信がなくなる。このまま、今の人たちと関わっていると、ほんのちょっとしたきっかけで、教え子殺人を口にしてしまうかもしれない。その恐怖心が先生を襲いその恐怖心がどんどん膨らんでくる。

 そこで、先生は自分の存在をこの世界から消し、新たな別な人間として生まれ変わることを計画する。

 この失踪を、教え子で先生を尊敬していた弁護士鶴見が追及して真相にまで至る。しかし、鶴見は先生が園長をしている老人ホームまでやってくるが、先生を今のままにしてあげようと思い、先生に会うことなくそのホームを去る。

 ここまでいかなくても、人生の中では、あれだけは秘密にしておかねばならないということを持っている人は結構いるかもしれない。忍び寄る病とともに秘密を抱えながら生きることは厳しいことなのだ。

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| 古本読書日記 | 20:15 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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