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安岡章太郎   「私説聊斎志異」(講談社文庫)

 時々、将来高級官僚にならんと志し東大法学部を一途に目指すが、何年も受験するがそれに悉く失敗、5浪、6浪なんて人がいる。或いは、司法試験を5年6年にわたり受ける人がいる。

 もういい加減あきらめて他の大学に行くか、他の職業に就くか周りはやめてほしいと思うのだが、決してやめない。とにかく、落ちるくせができると、どういうわけか、絶対というくらい受からない。

 この小説に登場する蒲松齢、19歳の時に初めて中国の官僚登竜門である科挙を受けて失敗。その後51歳まで数十回挑戦するが悉く失敗する。科挙というのは、一回の受験で数百万円費用がかかるらしい。蒲松齢は地方の町に住む。科挙試験を受けるのに済南まででる。
そのたびに試験に失敗。帰る道は本当に辛かっただろうと思う。

 司法試験ではないが、落ち続けると、意地になるのだろうか。どうして諦めないんだろうか。50歳にもなって科挙に受かっても、任官される可能性も少ない。それに任官されても栄光の出世街道を歩めるわけでもない。何しろ、51歳の時には息子と一緒に試験を受けているのだから。

 多分家では、男として一本だちできないダメおやじと蔑まれ生きてきたのだろう。作者安岡も松山高等学校を3回受験で失敗している。そして慶応に入る。

 青春モラトリアムの時代。食えるかどうかわからない物書きを目指し放浪していた時代。家族を思うにダメな男だと安岡は自責しながら放浪していた。その青春を蒲松齢に重ね合わせ執筆した作品である。

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| 古本読書日記 | 19:17 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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