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アンソロジー   「私の文章作法」(文春文庫)

 60歳も半ばを過ぎると、頭の固さ、働きの悪化を認識せざるを得なくなる。感想文を今のように本を読むたびに書き、ブログにして掲載している。別に作家のようにこれで稼ぐという必要は全くないのだから気楽に書けて当たり前なのに、何ともそのための言葉がしばしば浮かんでこなくて戸惑うことがよくある。

 このエッセイ集で、杉浦明平の言葉がずしんと響く。

 「チューブ入りのねり歯磨きが古くなりやや硬ばったような頭だから、一句ごと一節ごとむりやりに絞り出し押し出さなくては進まないのである。ときにはアルコールで脳細胞を刺激興奮させて、ことばをオートマティックに流れださせようとこころみないでもない。がこのごろは飲みすぎると眠気の方が先に頭全体を支配してしまうので、文章が流れだすどころではない。やはり正気で涸れた脳味噌にしめ木をかけて、わずかに染み出す屑まじりの語彙や文節をよたよたと並べる以外に方法がないのである。」

 作家はみんな同じなのだろうか。

 作家の創作の苦労をこれほど鮮やかに描くとは。これこそ、名文中の名文だと思う。

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| 古本読書日記 | 19:02 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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