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川上未映子    「愛の夢とか」(講談社文庫)

 短編集。
 あの大変だった時、私はなにをしていたのだろう。こんなふうに振り返っても本当に何をしていたか思い出せない時がある。

 夫は勤めていた会社から独立して、建築会社を作った。そして、都会に一億円以上もかけ土地と家を持った。内装も家具も自分で決め、特に庭は丹精を込めて作り上げた。幸せいっぱいと思っていたとき、夫から会社が倒産した、この家を売ってどこかへでていかねばならないと言われた。ある日不動産屋が女のひとを連れてくる。女のひとは家を気に入り買うと宣言する。

 そして今主人公は、夫と家を手放し、狭いウィークリーマンションにいる。

 会社が倒産してこのマンションに今いる。その間、「私は何をしていたのだろう。夫は何をしていたのだろう。」と一人つぶやく。倒産してから、今まで夫と何かを話した記憶がない。
今後どうするのだろうと話した記憶がない。何もしていなかった。何もしないまま今になってしまった。

 そして今かっての家に行き、大好きだった庭で、新しい女主人が掘った穴に寝ころび、庭と家と空をみつめている。そしてつぶやく。「私は今なにをしているのだろう」と。

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| 古本読書日記 | 19:09 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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