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宮本百合子   「婦人の生活と文化」(国民文庫)

 日本の代表的女性作家といえば、「源氏物語」の紫式部ということになるが、海外からみるとこの偉大な作品の作家紫式部が個人名ではないことに仰天するそうだ。本名なりを語って物語を発表できないことが不思議。これは「枕草子」の清少納言にもいえる。女性には人格、人権が与えられていなかったことの象徴として語られる。

 明治になり、ぼちぼち女性作家が登場してくる。露伴なども執筆していた「文藝倶楽部」という雑誌で、女性作家特集号というのを出す。その原稿料が簪や着物だったそうだ。樋口一葉の時代である。まさか一葉の作品も同じだったとは思えないが、生活苦で駄菓子屋をやっていた一葉のことを考えるとひょっとすればとは思った。そんなことをこの作品で知った。

 この作品のように、女性の人権や地位が男性に比し、極めて低くおさえられていたという評論を読むと、それはそうなのだろうが、抑圧という観点からみると、女性、男性という区別でみることが正しいことなのだろうかと思う。

 抑圧、人権無視は別に女性に特別に向けられていたものでなく、百姓や貧しい人々、あるいは一般人に等しくなされていたと思ったほうが正しいように思う。戦争中、この作品ではいかに女性が虐げられていたかを強調するが、赤紙一枚で戦争に駆り出された男たちにもその悲劇は女性と同等にもたらされている。それは権力に抗することを押さえつけられた庶民に等しく覆いかぶさってきた。女性、男性の区別などあまりない。

 しかし、確かに、社会において女性進出が遅れてきたことは否めない。女性からみると男性優位社会にみえることもしかたないようにも思う。

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| 古本読書日記 | 19:07 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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