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フィッシャー   「音楽を愛する友へ」(新潮文庫)

 音楽とは何か。芸術の中での音楽とは何か。偉大なるピアニストフィッシャーが、ショパン、ベートーヴェン、モーツァルト、そしてフィッシャーが最も敬愛したバッハを論じながらその問に答える。

 現在のクラシック音楽家を目指す人たちのバイブルになっている名著。

 元来、音楽を言葉で表すことが困難なうえに、非常に難しい言葉を訳者が多用しているため、クラシックにあまり馴染みのない私にはかなりちんぷんかんぷん。

 私達は、クラシックコンサートにでかけ、演奏前は非常に世俗的である。今日の些事を語り、仕事の失敗成功を思い出し、他人とのまずかった会話に苦みを感じたり、色んな現実を感じながらコンサートに聞き入っていく。

 そして、フィッシャーは言う。
「どんな人の生活にも、あらゆる外的なもの、あらゆる見せかけ、あらゆる作り物が落ち去ってしまう、そんな瞬間があるものだ。われわれはそのような瞬間に、生命を自然の現象として感じ、誕生や、最高の歓喜や、深い悲しみなど、その永遠のモチーフを感受する。」

 演奏家も聴取者もこのような状態にならねばならない。これが最高のコンサートの状態なのである。

 更に加えて、
「われわれは、自分自身の生命の表現に力を注いでも、個人的存在が取るに足らないものであることを認識しなければならない。そして一個の被造物は、より高いものに奉仕していない限り、無に等しいことを感じなければならない。このより高きもの・・・・それがバッハのなかで極めてあきらかになったのだ。そしてそれを三つの文字S・D・Gでもって象徴した。
 SOLI DEO GLORIA 栄光はただ神のみに!」

 コンサートが終わると、あの苦み走っていた聴衆の顔が晴れやかな幸せいっぱいの顔に変わっている。より高い崇高な領域、神の領域まで高めてくれるのがバッハでありそれを具現してくれるオーケストラであるのだ。演奏家はその高みを常に追求して精進せねばならない。

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| 古本読書日記 | 18:20 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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