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太宰治    「愛と苦悩の手紙」(角川文庫)

太宰治が書いた手紙で今現存しているのは640通を超えるそうだ。筆まめと思われるが、しかし、戦前や戦争直後には、一般家庭に電話はなく、通信コミュニケーション手段で最も使われたのが手紙。私も、大学時代にはたくさんの手紙を書いたりもらったりしていたから

太宰がとりわけ筆まめというわけでは無いようにおもう。

 この作品は640通の中から、太宰の友人だった亀井勝一郎が212を選び編集したもの。

 昭和10年頃、「思い出」「魚服記」の頃。非合法共産党員として活動していたころ。投げやりで、人生の希望もない時代。暗いもんもんとしていた時の手紙。

 そこから脱して、石原美知子との婚約、結婚時代に生気に満ちた希望あふれんばかりに輝いていた時代の手紙。このときに傑作「富獄百景」をものにしている。

 戦争直後の虚無の時代。そして心中。
そんな太宰の通ってきた人生がありのままに表出している。

 太宰文学の本質を語っているところ、仏文学者河盛好蔵にあてた手紙から抜粋する。

「優は優しいとも読みます。そうしてこの字をよくみますと、人偏に憂うると書いています。人を憂える、人の侘びしさ、さびしさ、つらさに敏感なこと、これが優しさであり、人間としていちばん優れていることじゃないかしら。そうして、そんな、やさしい人の表情はいつでも含羞(ハニカミ)であります。私は含羞(ハニカミ)で、われとわが身を食っています。」

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| 古本読書日記 | 21:39 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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