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ドストエフスキー   「永遠の良人」(新潮文庫)

タイトルと中身がどことなくかけ離れている。ロシア語がどうなっているかわからないが「万年ダメ亭主」くらいのほうが中身とピタっとはまる。

 この作品で、ドストエフスキーが言うが、神様の言葉は時に嘘があるが、妻の言葉は常に真実であり絶対である。

 夫が浮気をすれば、妻は金切声をあげ、罵倒叱責をする。妻が浮気をする。夫は、それを知っていても、なかなか非難できない。まして、妻の浮気相手が、自分より社会的地位も高く力もあるとなると、面とむかっても、多少の皮肉は言えても、結局は唯々諾々と相手の言うことを受け入れ従ってしまう。

 自分の子供だと思っている娘も、本当にそうなのか確信がなくなる。
この作品、男の卑屈さを、ユーモアを散りばめ、描いている。

 訳者の米山正夫が解説で言っている。
この作品、まさにドストエフスキーが脂が乗りきっている時に書かれた作品。「白痴」と「悪霊」の間で書かれた作品なのだそうだ。その稿料が支払われない。ドストエフスキーが悪いのは、出版編集長にも関わらず、卑屈になり、下手にでて、助けてほしいと編集長にお願いをする手紙を書いている。

 その心情がこの作品にはにじみ出ていると米山は言う。強い権力者には全く抵抗できないものだとドストエフスキーは言っているのだ。そして強い権力者の一人は妻だと。

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