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恩田陸     「木曜組曲」(徳間文庫)

 作家。まだ駆け出しでそれほど売れてないときは、技量はともかく、書くことが楽しくて、アイデアも湧き出し、次々出版はされることは少ないが、書いた原稿だけはたまっていく。

 そして、大きな賞を受賞するか、ポンと一発あたりベストセラーを獲得する。それからが大変になる。

 今までは書けたら出版社に持ち込むか賞へ応募する。しかし、それが逆になる。出版社から締め切りを決められ作品を創ることが要求される。更に最も大きなプレッシャーは売れた作品と同レベルかそれ以上の作品を書かねばならないということ。特にエンターテイメントのジャンルは多作を要求されるし、次々作品を発表していないと、すぐ忘れ去られる強迫観念がつきまとう。

 しかし、いくらベストセラー作家といっても、ふってわくように次々アイデアや構想が浮かぶわけではない。

 この小説で殺される大御所作家重松時子のように、弟子とまではいわないまでも、作家修行しているか、駆け出し作家を傘下において、彼らの習作を読み、アイデアを語らせそこから盗み取り、大御所の名前で世に作品を送り出している作家もきっといるんだろうなと思う。

 こいう関係は、いつも崩壊する状態を抱えている。どちらも、矛盾が沸点になると、殺してしまいたいという関係になる。

 溶かした毒が入った水、いつか調理している鍋に入れたいと、鏡を通して、調理場を観察しその機会をうかがっている大御所作家。それは、同時に調理場からも、大御所の不穏な動きが鏡を通してみられていることを意味している。その調理場にも、大御所を快く思っていない人がいる。
 ちょっとした緊張があり面白い場面だった。

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| 古本読書日記 | 21:58 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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