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明野照葉     「骨肉」(中公文庫)

 父親などというのは、家族のなかで何の力を持たないし、空気のような、空気どころか、給料は稼いできてほしいが、できれば家では存在してほしくないような扱いをうけるもの。これで、子供が大きくなりそれぞれ自活できるようになると、本当に存在は無くなる。

 そんな父として、あるいは男として、その存在と力を家族に唯一認めさせる機会が死ぬときの遺産分与の時である。もちろん、持ち家とその土地があり、ある程度預貯金か有価証券がある場合に限るが。

 この物語では、3姉妹に加えて、父親が突然4人目の娘がいるとその娘を自宅に連れ帰ったことから急展開をする。遺産はどのように分配されるか3姉妹の間で強い関心事になり、4人目の突然出現した妹には一銭も渡すわけにはいかないと、4人目の妹対既存3姉妹の遺産相続争いを描く。

 お金というのは不思議。3姉妹はそれまで考えることのなかった相続遺産について詳しく手続や金額を調査する。彼女たちはそれぞれ試算したお金が間違いなく入ってくるものと思ってしまう。
 すると、勝手にそれを何に使うか考えるようになり、もうそれは実現してしまっている錯覚がおき、中には、もう莫大なお金が入ってくるものとして、生活スタイルをゴージャスに変えてしまう娘まで登場する。

 ところが、父親はそんなバカを横目にしながら、今にみておれという風に、「遺書」を書きのこし弁護士に手渡しておく。
 2千万円はお寺に寄進。更にもう2千万円は慈善団体に寄付。

 それぞれの姉妹は、税金を払っても手取り6千万円はもらえると踏んでいたのに、結局手元にやってきたのは2500万円。
 2500万円だってとてつもないお金だと思うが、6000万円は確実に入ってくると思い生活設計していたが、もう現実に帰ることができない。偉く大損したと衝撃を受ける。

 お金というのは、手に入れても失っても、いつも損した思わせる特徴を持っている。

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| 古本読書日記 | 22:39 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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