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相場英雄   「共震」(小学館文庫)

 チタン製とステンレス製のタンブラーの特性を使い、さくらんぼに染み込ませた毒を被害者に飲ませ殺すというトリックもそれほど目新しいと思わなかったし、復興支援金を巻き上げる仕組みも、現実はもっと色々の方法があきらかにされているので、それほど驚くこともなかった。

 それでも、相場、この作品のためにたくさんの資料を読み込み、東北大震災の現場にも何回も足を運び取材をしただろう、それも通り一遍ではなく、かなり深く切り込んでいて、それが魂のこもった筆致に結実し感服した。

 いつも、思うが、暴力団を含めた裏社会の連中、および政治家、それに続く官僚の一部は、いつも税金をどう分捕り、それらをどう彼らの間で分配するかを考えている。

 ひとたび、大災害が起きると、義援金やら復興支援金が大量に注ぎ込まれる。大災害だから、そのお金を分配する手続きがどうしても甘く、穴だらけにになる。厳格にしていてお金が回らない事態になると、マスコミを中心に国民からの罵声が山のように発せられるからである。

 ここを裏社会の連中たちは狙う。ホームレスの人々を、震災被害者として現場に送り込み、避難場所に住まわせる。大量の避難民がいるから、チェックなど十分にできないし、被災直後はすべてのエネルギーが行方不明者の捜索、救助に注がれ、避難所の避難民についての調査など完全に後回しになる。

 そこで組織により送り込まれたホームレス避難民が、被災者として申請し、義援金やら生活助成金を手に入れる。もちろん口座は裏社会達の組織がホームレスに個人口座を開設させ、集まった義援金を裏組織に還流させる。

 どさくさと混乱は、お金を詐取する絶好のチャンスなのである。

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| 古本読書日記 | 22:04 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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