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池井戸潤    「七つの会議」(集英社文庫)

 この前新聞で確かオリンパスの社員が上司の不正を告発。オリンパスはそれに怒り、社員を左遷させ、それが不当と社員がオリンパスを告発、地裁で和解が成立したというニュースを新聞でみた。

 不正を告発。マスコミは告発者を一方的に正義として報道するが、現実はそんなに簡単ではない。もちろん告発の中には純粋な怒りで、不正を告発しているものもあるが、大抵は、動機がすこし曲がっているものが多い。

 自分のおかれた境遇がある。自分の仕事ぶりはさておいて、とにかくこんな境遇においておく会社が憎い。上司とそりがあわない。上司や、同僚のあいつが俺にだけ厳しく辛くあたり、無能よばわりをする。

 こんな怒り、憎たらしさ、嫉妬が根底にあり、それが日々増幅する。そこに不正らしきものをみる。それで、あいつの、或はあんな上司の不正は見逃すことはできない。そして、その不正を告発することが、いつしか正義のヒーローのようにどこかで変転する。そうして、嫉妬怒りが完全に悪をこらしめるためにやっているのだ、それで告発が始まる。

 池井戸の「七つの会議」のなかの「経理屋稼業」での、経理部員新田、自分の社内不倫も問題なのに、それはそっちのけで、ヒーローのごとく気持ちが高揚して、不正を暴くのだと邁進してゆく姿は、まったく会社員という動物をよく観察し描いているものだと感心する。

 最後の締めで物語がちょっぴり萎んで、弛緩したのが心残りではあるが、池井戸の会社の実態を見つめる眼の確かさをこの作品でも改めて実感した。

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| 古本読書日記 | 06:16 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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