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綾辻行人   「時計館の殺人」(下)(講談社文庫)

 時計館にある108個の全ての時計の速度を20%速めておく。上手いトリックを考えるものだと一度は感心する。だけど、犯人だった紗世子は年をとった家政婦。そんなことできるわけがないじゃんと思う。

 ところが、綾辻は見事なトリックを用意していた。108個の時計は、館ができた時から20%速度を速めておくようにしていたと。それは、館を創った古峨が、愛する娘永遠(名前)の命が16歳までと宣告され、許嫁である智と16歳までに結婚させてあげたいという強い想いがあり、それを実現したうて全ての時計を20%進めておいたのである。

 上手い結論を持ってきたものだ。構成が実によくできている。本格推理小説は時に、作家に色んなトリックが浮かび、小説の構成を無視して、浮かんだトリックのあれもこれもいれようとして失敗する作品ばかり。それだけに綾辻のこの作品でのトリックと物語の構成のすばらしさに感服した。

 上巻を読んだ段階で、少年由希弥が犯人ではないかと思った。綾辻は、由希弥が犯人であることを終盤縷々説明する。初めて長編で作家と自分の想いが一致したと喜んだ。だけど何となく残り100ページ以上あるため不安になる。そしたら、最後に私の想いをひっくりかえす結論を用意していた。

 凡人はこう推理するだろう、馬鹿なやつらだとほくそえんでいる作者綾辻が眼前に浮かんで悔しくてしかたなかった。

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| 古本読書日記 | 06:25 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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