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有栖川有栖     「幻想運河」(講談社文庫)

 本格推理小説作家有栖川のことだから、この作品もどんな仕掛けが用意されているか興味を持って読み始める。冒頭から大阪の運河でのバラバラ死体がみつかり、これは面白そうと思い読んでゆくと、急に、舞台がアムステルダムに変わる。確かに大阪もアムステルダムも運河の街。しかも、大阪の運河は、だまし絵で有名なオランダ人エッシャーが指揮をして作ったものとこの作品で明かされる。
 
 それにしてもアムステルダムでの描写が長い。大阪のバラバラ殺人事件と絡まるような事件がアムステルダムでいつおきるのか、待てど暮らせど起きない。それでやっとこさ、もう少しで終わりというとき水嶋という男がバラバラになって殺され、運河に浮かぶ。

 その解決も全く作品のタイトルにもなっているように幻想的で、もう一つ実感がわかない。果たして、殺人事件は解決したのか未解決のままなのか、幻想に包まれる。

 それで、どうもこの作品は本格推理小説ではないのではと読み終わって思う。人間の性(さが)や生と死を扱った本格小説ではないのかと。そう考えて、もう一度読み直さないといけないとは思うが、やっぱし有栖川の趣向と異なると思うとあまり再読する気持ちが起こらない。

 ただ一つ面白いなと思ったのは、人を殺傷しておき、死体を切り刻み、その後で銃で死体に弾を打ち込む。そのときの鑑定が、死因は銃弾によるものと下される。そんなことはありうるのだろうか。そこも幻想に包まれる。でも、頭の隅にこびりついて離れない。

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| 古本読書日記 | 06:37 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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