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法月綸太郎   「法月綸太郎の冒険」(講談社文庫)

  この中編集に収められている「死刑囚パズル」は最近たくさん推理小説を読んでいるが図抜けて傑作推理小説である。

 まず事件設定が秀逸で読者の度胆を抜く。

 強姦、暴行を何度もくりかえし、最後には暴行致死を犯し死刑が決定し拘置されていた有明死刑囚の死刑執行が行われる日の15時を迎えた。事前の決められた儀式が行われ、死刑場に導かれ、首にロープがかけられる。そして死刑執行人がボタンを押すと、死刑場の床板が開けられ、死刑囚が首つり状態になり死ぬのである。この執行人は5人。

 彼らが一斉にボタンを押すが、どれが床の開閉とつながっているか執行人は知らない。これは執行人の人殺しの罪悪感を取り除くための措置なのだ。

 で、執行人がボタンを押そうとした瞬間、有明が絶叫しそのまま崩れる。死刑立会人が駆け寄る。するとすでに有明が死んでいることを発見する。
 つまり、極悪犯罪者が死刑執行寸前に人殺しに会い死んでしまう、前代未聞の殺人事件が起きたのである。

 法月名探偵の推理の論旨が明快で冴えわたる。しかし、いくら冴えわたっても、この事件の場合、犯人の動機が法月が読者が納得しているものが用意できているのだろうかと読者不安になる。それほどに動機付けが困難な舞台設定だ。

 ここでそれを書いてしまうと、これからこの本を手にとる人に失礼になるから言えないが、動機も見事である。
 殺人事件が全く起こることがないと考えられる舞台設定、推理の見事さ、犯行動機の明白さ、3拍子が完璧に描かれた傑作推理小説である。

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| 古本読書日記 | 06:31 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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