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米澤穂信    「インシテミル」(文春文庫)

この作品、何人かをある場所に閉じ込めて、そこで殺人が起こる、或は起こさせる、それにより最後二人または一人が残る、バトルロイヤル形式の小説である。

 時給十二万千円というとんでもない金額に誘われ十二人の人間が「暗鬼館」に集められる。
それぞれに個室を与えられ、そこに殺人凶器が与えられる。そして、殺人の実行者や、殺人者がだれであるか推理し当てれば、時給が何倍にもなり、1週間の拘束期間を終了すれば、最高で10億円を超える金額が手にすることが可能になる。

 ただ凶器を与えただけでは、殺人は始まらない。一週間何もしなくても、時給12万1千円により1400万円超が集められた人には与えられる。それでは面白くない。だから、この12人の中に、自殺願望者を入れておく。そして、彼が自殺を実行する。そこからの人間心理の変化が面白い。

 死んだ原因が自殺であると、残り11人は思わない。何故なら、殺人者、犯人当て者にはとんでもないお金が手にはいるからである。だから、他殺と考え犯人を推理しようとする。そして、11人のなかから殆ど想像で犯人を作り出す。それも多数決で。それにより、最初にその想像をした人に大きなボーナスが与えられることが確定する。

 一方、自殺者がでるまでは、一週間ダラダラ過ごせばいいと考えていた参加者は死人がでたことで、自分がうかうかすると殺されるのではという恐怖心に覆われる。

この辺りの筆の運びはさすが米澤と感心する。
しかし、最後の締めがよくない。十億円以上の金をつぎ込むことまでして、こんな遊びをするのか、主催者の意図、背景の説明が無いから。そうしないと、ただ推理小説マニアだけのお遊び小説になってしまう。私のような一般読者には大いに不満が残る。

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| 古本読書日記 | 06:26 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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