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稲葉真弓   「ミーのいない朝」(河出文庫)

 作者稲葉さんは愛猫ミーと生活している。私の家には犬2匹と猫2匹がいる。今まで殆ど犬猫が数匹いる生活をおくってきている。だからかもしれないが、稲葉さんほど生きることに猫に寄りかかり、或は寄りかかられ、殆ど同化して毎日を送ることが少し信じられない。

 冬になると、つい先日亡くなった猫が寒くてふとんに入ってきて腹のところに収まり、犬が背中にうずくまり眠っていた。かわいいというより窮屈が先にあり、その後腹も背中も暖かくて嬉しいとい気持ちがじわじわわいてくる。そこまでが犬猫に対しての精いっぱいな想い。

 稲葉さんとミーの付き合いは20年の長きにわたる。20年は、稲葉さんの人生に谷、山を作る。その度に、ミーに寄り添ってではなく、完全に寄りかかり、喜ぶときは、一緒に喜ぶことをミーに要請し、落ち込んだときは、その悲しさをありったけミーに伝える。そして、その切なさを堪え、乗り越えてゆく。

 特に夫との別居するとき、稲葉さんは勤めていた会社を辞めたばかり、本も一冊だしたが、その後が上手く書けない。人生ではどん底のとき。ここでのミーとの励まし支え合う暮らしぶりが印象深い。

 しかし、私が男のためか、夫が大阪へ転勤、まだ子供もいない2人だけの家庭なのに、妻である稲葉さんが、夫に同行しない、それが他にも大きな原因はあったかもしれないが、ミーと一緒にいたいというのが一番の理由になっていることに、夫の気持ちはどうだったのか、想像すると実に切ない。

 最後のミーが亡くなるまでのクライマックスより、夫とのこの別れのところが、夫が猫に捨てられたような気持ちになり、悲しくなった。

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| 古本読書日記 | 08:54 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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