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有栖川有栖    「ジュリエットの悲鳴」(角川文庫)

 推理小説というのは、社会派推理小説であろうが通常の謎解きであろうが、事件があり謎解きをしながら犯人を追いつめ、解決させるのが一般的な展開である。有栖川は、少しそんな固定的方法に飽きて、もう少し色んなミステリーを書いてみたくなったのだろう。そんな想いをこめた短編集である。

 どの話もきちんと解決しないで、少しの恐怖を置き去りにして終わっているものが多い。
最初の「落とし穴」はよくあるミステリー。犯人が完全犯罪と思って実行した事件に、実はちょっとした落とし穴があり、それを善意の第3者が、あっけらかんと「こんなことあったよ」と教えてくれる。そこで物語が終わり、ぞっとする想いを読者に残す。清張の名作「渡された場面」を思い出す。

 また本のタイトルになっている「ジュリエットの悲鳴」は、ミステリーよりホラーに近い小説。ロミオを名乗るロックバンドのスーパースター。まだストリートミュージシャンだったころに憧れを持たれた少女に、心中をせまがれ、2人でベランダから掛け声とともに飛び降りようとしたのだが、繫いだ手をその瞬間にロミオが離し、少女だけが悲鳴をあげベランダから落ちて死ぬ。その悲鳴が彼のバンドのCDから漏れでてくる。その悲鳴にとりつかれたロミオが向う闇はというところで話が終わる。

 推理小説の枠からはみだして、自由に飛び回る有栖川がこの作品集にいる。

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| 古本読書日記 | 07:04 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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