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伊集院静    「ノボさん」(上)(講談社文庫)

 下巻がどうなるかわからないが、上巻までの印象。

 正岡子規と盟友夏目漱石を扱っている。子規と漱石だから、重い文章とまでいかなくても、多少の格調の高さがあってしかるべきなのだが、伊集院は、極力、平易でシンプルな表現でこの物語を書いている。そこにちょっぴり内容の希薄さを思わせるが、一方で、伊集院は特に子規に寄り添い、子規といっしょに歩み、子規と一緒に青春を遊び、成長してゆこうとする。子規と徹底的に寄り添う一貫した伊集院の姿勢が、生き生きした物語を実現している。

 子規は、開放的で、会話も行動も明るい。対話をするとき、相手を慮ることはなく、思ったままに喋る。その開放的な姿勢に、周囲がひかれ、いつもたくさんの人に囲まれている。

 一方漱石は、生まれてすぐ塩原家に養子にだされたが、この養父母が離婚したり、実父と養父が対立して、21歳まで夏目を名乗れなかったほど、複雑な家庭で育った。それ故、孤独癖があり、対人関係には慎重、会話も選びながらする傾向が強かった。ただ、頭脳は抜群で旧制第一高等学校を首席で卒業している。
 この正反対の性格の2人が無二の親友となるから面白い。

 上巻では子規の漢詩や俳句の創作で並々ならぬ才能が開花してゆくところと、野球が大好きでそれを多くの人たちに教える様が描かれるが、まだ漱石の文学的素養の芽生え、開花までには至っていない。

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| 古本読書日記 | 06:21 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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