FC2ブログ

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

小川洋子    「ことり」(朝日文庫)

 今は養護学校が整備されて、身体障碍の方や、知恵おくれの子は、養護学校で学ぶのが殆どだが、まだ私が小学校の頃は、同じ学校に通い、特殊学級で学ぶのが一般的だった。

 私の学校でも、うさぎを飼っていた。うさぎは結構気が小さく、なかなか皆になつかなかった。ところが、ある特殊学級の子には、本当にうれしそうにいつもまとわりついて、小舎のなかにその子がはいるとうさぎは追いかけた。とにかく彼女はうさぎとお話ができるのではといつも思っていた。

 あの頃はひどい時代で、知恵おくれの子ができると、あそこの子から馬鹿が移るなどといって、親から近付かないように言われた。その子には弟がいたが、こうなると学校で地域で弟にも近付くなと言われ、弟も姉以外だれも友はいなかった。姉弟ともに変人扱いをよってたかってするのである。そして、何か事件らしきものが起きると、誰もかれもがあの2人のどっちかがやったに違いないと決めつける。

 この作品の兄弟も私の小学校時代の姉弟と同じ境遇である。兄はある日突然、小鳥との会話しかできなくなる。これはすごい変人である。だから、支え合うのは弟しかいない。弟も周囲から疎まれ、世界は兄弟と小鳥だけになる。
 この作品でも、少女暴行事件がおきると、犯人は弟だとみんなが言いだす。そこがかわいそうで仕方がない。

 人間には徹底的に排除されたが、兄も弟も小鳥と信頼関係ができ、互いに愛し愛され、一生を送る。人間も動物の一部である。どうしようもない人間関係でうろたえるばかりの人生より、小鳥と交流する関係のほうがこの作品を読むとより人間的だし、暖かさを感じ羨ましく思えて仕方がない。

ランキングに参加しています。
ぽちっと応援していただければ幸いです。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

| 古本読書日記 | 09:14 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

COMMENT














PREV | PAGE-SELECT | NEXT