FC2ブログ

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

池井戸潤    「仇敵」(講談社文庫)

 いつかテレビをみていたら、中国で年初の株価急落のためサーキットブレーカーを2回も発動して更に投資家心理をかく乱させ混乱に陥れた、この稚拙な方法は、まだ中国で株式投資についての環境、知識不足がなせるわざ、中国当局はもっと株式投資について学ばないといけないと有識者が力説していた。かなり私には違和感を覚え、こんな人が有識者としてのさばることに不快感を感じた。

 中国経済は市場にまかせては動くものではないという本質をわかっていない。株式が暴落しそう。そうなると、多分裏で共産党の幹部が当局担当者に電話をする。「ばかやろー。何をやっているんだ。何とかしろ。」と怒声をあびせる。ここが重要なのだが、日本ではこんな怒声をあびせられても十分逃げ道は残されている。中国は、何とかしなければ、その担当者に重刑が与えられるかまかり間違えれば生死に直接かかわる。ここがGNPの発表値、爆発事件の処理に表れている。ほぼ正確なものなど何も無いのである。この構造が中国の動きの根幹をなしている、結構北朝鮮に近いのである。

 同じようなことが日本にもある。メガバンクである東都首都銀行へ事務用品を一手に収めている会社、葉山興産は年商7億円で粗利益が3億円ある。葉山興産は、事務用品を製造しているわけではなく単なる薄利の商社。そこが3億円の粗利をあげているのは異常である。そのお金はマネーロンダリングのペーパー会社を通じて、首都銀行常務峰岸に還流されている。もちろん峰岸は、不正について自分には類が及ばないよう、それぞれに動く人間を配置し、彼らにも分け前を与える。

 峰岸は給料は二の次で、こういうからくりを幾つかもって動かし、悪銭をぽっぽと懐にいれる。時にそれがばれそうになると、ちゃんと配下にヤクザを持っていて、危険な人を自殺とみせかけるような方法で殺させる。中国は国が殺傷するが、日本は民間ヤクザがそれを引き受ける。作品としては面白いが、とっかかりが、銀行への事務用品納入というところは少しチャチな印象を持った。

ランキングに参加しています。
ぽちっと応援していただければ幸いです。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ


| 古本読書日記 | 09:13 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

COMMENT














PREV | PAGE-SELECT | NEXT