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真山仁    「そして、星の輝く夜がくる」(文春文庫)

 真山さんや幸田真音の作品は、いつも、会社の社員研修の講師の話を読んでいるよう。この本も説教くさい。新聞の紹介で東日本大震災について書いてあるというので本屋で手に取り思わず購入してしまい、しまったと後で後悔した。

 読んでみて、やっぱし研修の香りはどことなく漂ってはいた。しかし、「頑張ろう、絆、繋がろう、忘れないで」一色で覆い尽くされていたし今も覆い尽されている偽善的匂いをはぎ取ったところで初めてわかる困難な問題を掘り起こし物語にしているところは、心から拍手をおくりたい。

 今はどうなっているか知らないが、確かどこかの高台にあった幼稚園、そこでとどまっていれば被害にあわなかったのに、津波情報がでていたにもかかわらず、園児を送迎バスで海辺の住居地におくり届けたため津波にあい、全員死亡したという事故があり、裁判沙汰になったことがあった。裁判したい親御さんの気持ちもわかるが私たちにはどことなく割り切れない感情が残ったできごとだった。

 防災訓練は何故やるのだろうと時々思う。誰もがわかっている、こんなことしても、本当の震災が起こったら誰も訓練通り行動しないだろうことを。事実東日本大震災でも、訓練通り行動して、被害にあった人もいれば、とっさに訓練とは異なる行動をして助かった人もいる。

 この本を読んでわかることは、防災訓練は周りの人を知るために行っているのだということを。誰が、どんな状態で、どんな想いで生活しているか、周りの人々と会話ができればそれもいいが、お互いの状況を知ることができれば本当に災害が起きたとき助け合うこともできるし、それから、更にその先の苦しい生活を克服してゆく上でも重要な鍵となる。人の暮らしや生活環境は、同じでは決してなく、年々変化する。だから、防災訓練の名をかりて今がどうなっているか互いに知っておくことが肝心なのである。

 災害がおこれば、あの人は大変な状況だからまず助けなくてはと動くし、マニュアルよりあの人の指示どおり従おうとか、色んなことを周りの人々を思いめぐらしながら咄嗟の行動をする。
 そして、避難先で、仮設住宅で、防災訓練を通じて顔を知っているだけで、孤独にならず励まし合って困難を克服できる力をもらい与え合うことができる。

 幼稚園被害はよくわからないが、皆必死なときに、間違った判断をすることもある。でも、まわりの人々を知っていれば、もうちょっと違った対応があったような気もしないではない。

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| 古本読書日記 | 06:47 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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