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鈴木光司    「仄暗い水の底から」(角川ホラー文庫)

 ゴミ、汚物だけでなく、憎悪、恨みも飲み尽くす東京湾。その周りに住み付く飽くことのない欲望の塊。そこには恐怖と不思議が入り混じった出来事が連日連夜起きている。

 鈴木さんの短編ホラー集。鈴木さんのホラーは、空想的な現実にはありえない現象ではなく、いかにも起きて当たり前だが、恐怖感が漂うリアリティのあるホラーである。

 今はアムウェイという会社がどうなっているかしらないが、30年くらい前、私の周りにアムウェイの販売員になるように勧誘している人がいた。マルチ商法ギリギリのやり方がアムウェイの販売方法。階層が高くなり、多くの販売員を抱えれば、それらの販売員から上納金でごっそり儲ける。

 この作品にそんな階層が高い夫婦がでてくる。恐らく年収数千万円をマルチ商法で稼いでいると思われる。その、方法が所有するヨットで勧誘者を東京湾に連れ出し、豪華な雰囲気の中で勧誘するやりかたである。
 そのヨットのキール部分に溺死した少年がしがみつき、どうしてもキールを手放さないので、ヨットが湾の中で動かなくなった。
 東京湾の周りでセレブのように浮遊して、豪華な生活をしていても、肝心なヨットの操作さえもできない。それと同じで、マルチのどこかの鎖がプツンと切れると、一気に奈落の底に落とされる。そんなはかないものの上に成り立っている東京湾周辺のあだ花の空しさを短編「夢の島クルーズ」は描きだしている。

 その他「孤島」と題する短編も、東京湾に第六お台場なる原始的孤島があるのかと驚かされ、面白かった。

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| 古本読書日記 | 08:22 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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