FC2ブログ

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

東川篤哉    「密室の鍵貸します」(光文社文庫)

 密室殺人でそのトリックの中に「内出血密室説」というのがあるらしい。
これは刺された人間が、出血して死ぬまでの間、室内を移動し、犯人が出て行った出口に鍵をかけ密室を結果として作ってしまうというトリックである。この方法が可能になるのは刺した傷口は小さいが、刃物の先は心臓など重要な臓器に達しているということだ。つまり出血は少ないが必ず死ぬという状態をつくらねばならない。だから武器は錐のような武器がふさわしい。

 東川は、この作品を読む人は、推理小説マニアを想定している。だから読者に知識はあるかどうかはわからないが、いかにも君たちは「内出血密室説」を思い浮かべるだろうと想像して、この「内出血密室説」の事件での有効性を滔々と説明する。
 更に、これに浴室の窓から、武器をつけた棒を差し込んで殺人をしたという説もかぶせている。

 そこまで、読者ひっぱりおもわせておいて、最後に犯人が密室で流れていた時間と本当の時間をずらすことによって密室でない時間をこしらえたというトリックが事件の真相だったと読者に提示して、推移小説マニアの想いを裏切ってみせる。

 トリックとしては斬新で面白い。しかし、犯人がそこまでやった動機が、殺人をおこしそうな男に恋愛感情を抱いていたからでは、良質の推理小説を台無しにしている。

ランキングに参加しています。
ぽちっと応援していただければ幸いです。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ


| 古本読書日記 | 06:52 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

COMMENT














PREV | PAGE-SELECT | NEXT