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三羽省吾   「太陽がイッパイいっぱい」(文春文庫)

 三羽省吾の処女作。彼の体験を小説にしている雰囲気。

 普通のバイト代が安いので、体にはきついがバイト代が高い解体屋「マルショウ解体」に主人公イズミは変える。ひょっとして三羽に解体屋経験が無いのかなと思ったのが、イズミが解体仕事の後に飲むビールが最高に美味しい、その経験だけで、三流とはいえ大学をやめ解体屋バイトにいそしむことになるところ。ちょっと納得できない。しかも、確かに熱い夏はビールも美味しかろうが、寒風吹きすさぶ冷たい冬に解体仕事を終えて飲むビールがそんなに美味しいとは思えない気がするからだ。

 最初解体屋で働く仲間は、個性的だが人間らしく楽しい、だからイズミも彼らに魅かれ楽しく仕事にいそしむ。
 しかし、解体職場は、建築現場の最下層の仕事。ここから先に仕事を委託できる業者はいないのである。更に、解体発注業者も最下位から二番目、4次5次下請け業者で、上から締め付けられ、締め付けられ利幅が無い中で、最後の解体業者に仕事を発注しているのである。
 それだから、例えば解体現場に欠員ができたり、アクシデントで納期が間に合わないと解体業者の持ち出し経費で、仕事をせざるを得ず、すぐに仕事は赤字となる。

 そんなところに集まる働き手は、何らかの事情を背負いながら集まった人ばかりである。個性的で楽しい仲間とはとても言えない。そして、そこから落ちたら、もう悪に手を染めるしか生きる術の無い人たちの集まりなのである。

 ちょっとイズミ解体職場が素晴らしいなんて甘くないか?そう思って読み進むと、やっぱり、ここはお前が働くような場所ではないと諭され、自らもわかり一年半でアルバイトを辞めることになる。

 最後は、たまたま父親がイズミに内緒で休学届をだしてくれていて、イズミは復学する。

 わかっていたが、落ち着くところに落ち着いたしなあんだと思って、本を読み終えた。

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| 古本読書日記 | 08:53 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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