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恋愛論  吉行淳之介

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男と女はもともと一つで、片割れが存在するはずという話やら歌やらは、どっかで聞いたことがありますな。
「恋愛とは美しい誤解である」「できるだけ早く結婚することは女のビジネスであり、できるだけ結婚しないでいるのは男のビジネスである」といった名言にも触れられます。

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古い作家さんですが、けっこうおもしろかったです。少なくとも、遠藤周作の「恋愛とはなにか」よりは。
遠藤さんは、
「女性は母親になることによって一つの完成を遂げるのです。母親になることの悦びはほとんど人生の大半の悦びに価するのです」
吉行さんは、
「昔は、セックスは種族保存、つまり妊娠のためのものであって、それに伴う快楽はいわば馬の鼻先につるされたニンジンのような役割であった。活字にするのは適当でないと思うが、快楽を追及して妊娠を忘れるのは結構な方向である」

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面白かった話①
チェーホフと恋人のリディアが、本のページを指定してやり取りをする。
彼女から彼へは、「P267 6行から7行」。私の命を差し上げます、みたいなロマンチックな一文。
彼から彼女への返事は「P121 11行から12行」。「なんだって君はそんなに僕を見つめるんだ? 君は僕が好きなのかね?」。
これじゃねぇだろうと、彼女はほかの本をあたり、納得できる文を見つける。
吉行氏は、彼女が最初に見つけた皮肉っぽい一節がチェーホフの本音だっただろうと推測する。

立原えりかの短編でも、本を使ったものがありました。雑に説明すると、
「彼女が、僕の貸したバラに関する本をちゃんと読んでいたら、『今から話すことは、バラの下での約束だと思ってほしい』という僕の言葉が、『この話は秘密だ』という意味であることが分かったはずだ。
僕は線まで引いておいたんだから。
約束をべらべら他の人にしゃべったということは、彼女の『読んだわ。面白かったわ』は真っ赤な嘘だ。もう二度と会うものか」
という話です。
舞台装置として本を使っても、そううまくはいかない。

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面白かった話②
吉行氏の友人が、「君のやり方を知っているぜ。コールガールに聞いたんだ」と、知識を披露する。
「それによると、私は世にも忌まわしい残虐色情者であって、そのコールガールを風呂場に引きずり込んで高手小手に縛り上げたうえで、関係したことになっている」
で、
「生来私は不器用なところがあって、小包の荷造りもうまくつくれない」
と続く。……そりゃ無理でしょうな。
代表作でサディズムとマゾヒズムを扱ったため、勝手なイメージを持たれるようになったとかなんとか。

ちなみに、「砂の上の植物群」は早い段階で挫折しました。

| 日記 | 22:25 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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