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長野まゆみ    「雪花草子」(新潮文庫)

文藝賞以来、独特な世界にはまりこみすぎたのか、一部に熱狂的なファンがいるにもかかわらず、文学賞にはとんと縁が無かった、長野まゆみさんが、本年度の泉鏡花賞と野間文藝賞2つの賞を獲得した。

 長野さんがうろおぼえだけど、傑作な受賞コメントをしていた。
「離れ小島で、同じ気持ちの仲間と、自分たちの世界を楽しんでいたら、本土から船がやってきて、連れ戻されてしまった」確かこんな風なコメント。

 最初長野さんは、無垢で心美しい少年のファンタジーな世界を描いて、長野フェチ読者を獲得した。この作品はそのファンタジーから一気に耽美な古典の世界へ駆け上っている。
 それは賞を獲得した泉鏡花より妖変で、谷崎より耽美。更に芥川より古典的。
雨月物語、今昔物語の世界へ一気に読者を連れてゆく。

 異様に美形の夜叉になりきれない白薇童子。この童子が、常は男だが、夏至と冬至の日だけは何と絶世の美女にかわる。色々怪しげな過程を経るが、冬至の日、白薇童子が産み捨てた瑠璃岩を自分の隠れ家に引き入れ、(その道のりの叙述が実に妖気に満ちどきどきする)
母子相姦となるが、そこで降り注いでいた桜が雪に変わりゆくところが鮮やかで美しい。

 印象が強い場面、文章もあった。
白薇童子が父から授かった太刀はさすがの業物。
「その切れ味はあまりに鋭く、血潮さえ飛ばない。頭のないことに気付かず、歩き出す僧兵もいたものだ。」

 鏡花も芥川も想像もつかない表現である。

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| 古本読書日記 | 07:00 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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