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桜木紫乃   「起終点駅  ターミナル」(小学館文庫)

 短編集。印象に残ったのが「スクラップロード」 

 ちょっと頭がきれて、出來が良かった男というのは救いようがない。
小さな北海道の名も無い町の出身。そこの町から北海道大学に入学するのは主人公の男が初めてくらいだった。そして北大卒業後は、北海道で最も大きい銀行に入行する。

 こういう男は、プライドが高く、他人には負けたくない、出世欲のかたまり。だから、頑張って頑張りぬいて働く。成績をあげている間はいいが、何かで躓くと、他人との協調を無視してきたため、こつんと心が折れる。心療内科にかかってみるが捨てられないプライドが邪魔をして、病気から脱出できない。そして、そのまま銀行を辞めさせられる。

 この男の故郷の家は貧乏だった。父はある日失踪した。
男が就職に苦戦していたころ、偶然父を見かける。父はきたない女とゴミ捨て場をあさって廃品を回収していた。父と女の運転するトラックに乗せられ、父と女が住む家に連れられて行った。傾いた廃屋といったふうの家だった。そして、何日かの後、肺炎を発症した父は病院にかかることもなくコトンと咳を一つして亡くなった。どん底の人間が味わわねばならない最後の末路だった。

 主人公の男は、いくら就職活動をしても、再就職先は見つからない。「私の銀行で培ったノウハウを生かしてほしい」このプライドが鼻につく。求人会社は「そのプライドを捨てる」
ことを希望しているのに。

 父親の死にざまをみれば、面子を捨てないと自分の末路も同じになることを薄々は感じているが、それでも今日も履歴書を書き、面接に臨み、不合格を、繰り返している。
 この短編集のタイトルである「起終点駅」も国選弁護人にナルシストを感じていて現実が見えない男が主人公になっている。

 男の切なさと子供っぽさ、あほらしさが混在している作品集だった。

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