FC2ブログ

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

押川剛   「子供を殺してくださいという親たち」(新潮文庫)

著者は精神障碍者移送サービス業を営んでいる。精神障碍者移送サービスというのは、精神障碍者やその家族を説得して、病院に搬送したり、施設に搬送する業務を行う仕事である。

 まだ私の学生時代では、精神病は異端の病気扱いで、差別用語になるがきちがいと言われたり、精神病院は脳病院といわれ、そこに入れば出てこられないなどという風評がたち、家族は何とか隠そうとするのが一般的だった。
 今は、街には心療内科とか神経内科、神経科医院はあふれかえっている。それだけ社会が病んでいてストレス社会になっていることがあるかもしれないが、精神病が一般的になり、隠す必要もないし、病院への敷居が低くなったことが大きい。

 しかし、この本を読むと、精神的疾患の現場の荒廃ぶりはかなりひどいことがわかる。
まず、精神病が発症した患者、その家族は精神病ということに寄りかかる。患者は自分は病人であるから、何でも言うことを両親や兄弟は聞けと迫る。とにかく、わがままに振る舞う。そして患者の特徴は精神を病んだのは、親や家族が悪いと必ず他に責任を転嫁する。
 一方親は、とにかく病院につれてゆき、ひたすら入院をさせるよう医者にお願いする、また入院ができる病院を探すことを懸命にする。自分で患者を世話したり、面倒をみるのを嫌うからである。何よりも家から出て行ってほしいと願う。

 精神病というのは、他の病気と違い、病巣がわからない。だから、病気、病名の判断は医者の経験や知識だけでなされる。それで、薬などの処方をするのだが、改善がみられない場合、最近は患者が多いせいか、医者が治療を放棄することが当たり前のようになっている。つまり、通院、入院を拒否するのである。また入院もmax3か月。それ以上は病院から追い出される。

 そもそも、精神的病になる人は、人との付き合いができない、コミュニケーションがとれない。それで、社会から隔絶されることで発症する人が多い。薬の処方などで、病気が改善しても、社会に溶け込めるような施策を講じてあげないと、また同じ病気を繰り返すことになる。心の病の闇は深い。

ランキングに参加しています。
ぽちっと応援していただければ幸いです。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ


| 古本読書日記 | 09:16 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

COMMENT














PREV | PAGE-SELECT | NEXT