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村松友視   「最後のベビー・フェイス」(角川文庫)

 タイトルのベビーフェイスというのは、可愛らしい顔という意味ではない。プロレスなどで悪玉のことをヒールというが、善玉レスラーのことをベビーフェイスという。

 長い人生の中で、悪玉から善玉に変わるように、自分ではその時は意識していないが、後から振り返ると確かに変わったときがある。大概は、住み慣れた故郷をでて、都会に住みだしたときだ。この作品の主人公は、静岡県清水で生まれ育った。その時いつも見えていた富士山は右肩にこぶがあった。だから富士山はこぶがあるものと思っていたが、東京でみた富士山にはこぶがなかった。その瞬間にこぶのある富士山は消えた。東京にでたころは故郷が自分の生き方をひきずったり影響を与えるのではと思ったが、新しい土地、新しい人間関係、新しい暮らしが故郷を遠くにやってしまった。そして新しい自分が生まれた。

 清水の次郎長も、賭博、女たらしの渡世人だったのに、突然、開拓事業や、山岡鉄舟との交流など、渡世人が消えて正義の侠客として伝えられるようになった。誰かが次郎長の姿を変えたか、どこかで突然次郎長自身が変わった。

 主人公が次郎長取材で故郷清水を訪れるが、都会で生まれ変わった主人公は、全く故郷に感慨、郷愁はこみあげてこなかった。

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