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角田光代   「空の拳」(下)(文春文庫)

角田光代   「空の拳」(下)(文春文庫)
 ボクシングをテレビで見なくなって久しい。この作品を読んで驚いたのは、鉄槌ジムで最強ボクサー立花がリングに登場するとき、華々しい音楽とともに、ゾンビの仮面をつけてくることだ。今、ボクシングの演出は相当昔と変わった。
 何かで読んだが、ボクシングは日本チャンピオンになっても、スポンサーがつかなければ、アルバイトをしないと生活できないようだ。
 野球やサッカーでは、それほどたいした選手でもないのに、サラリーマンが一生かかってももらえないような金をもらえる選手がごろごろいる。しかも、活躍してもしなくても一旦上がった年俸はなかなか下がらない。
 ボクシングは、殴り合いである。野球やサッカーに比べ、大けがの危険は大きく、場合によれば生命を無くすこともあり得る。それなのに、収入は少ないし、一旦負けると、収入はガクンと減り生活が困難になる。
 だから、試合以前に、選手の虚像を創り上げ、ゾンビの面をかぶってリングへ登場なんてことをする。選手は、ボクシングを続ける限り、試合以前に全く自分と異なる自分をずっと演じなければならない。
 ボクシング人生は切なく悲しい。角田のこの作品は、その切なさを抉り出す。

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| 古本読書日記 | 12:05 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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