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大沢在昌    「新宿鮫」(光文社文庫)

 大好きな書評家に北上次郎がいる。
ハードボイルド小説の中で一押しが、大沢の「新宿鮫」シリーズだと言っている。私も幾つか大沢の作品を読んだが、どうにも内容が薄く、特に仕掛けをでかくすれば、滑稽なほど現実味がなくなり馬鹿らしくて投げ出す。一方、やたら情緒的で湿っぽくなる小説もある。

 でも、北上がこの新宿鮫で大沢は変貌をとげたと、この作品を絶賛していた。新宿鮫は12冊でているが、全部が面白いわけでなく、北上は4冊をあげていた。その中でも第一冊目のこの作品を絶賛。北上が絶賛するわけだから面白いのだろうと思い、手に取った。

 主人公の鮫島の人物造形は確かに面白い。鮫島は、公安警察の暗部を知り、警察組織を破壊できる秘密を持つ。警察は馘にしたいけど、恐ろしくてできない。だから、新宿署の防犯課などというちんけなところで飼い殺しをする。この警察の弱みを握っているところが常に物語に緊張感を醸し出している。
 しかも、鮫島の人間模様を仕事については上司の桃井警部が映し出し、私的な部分は、14歳年下の晶というロックシンガーが映し出す手法も上手い。木津という拳銃密造者の人物造形も見事。

 ただ、大向こうを張ったわりに、事件の結末が少ししょぼかったのが残念。
どうも第一巻は、物語というより、登場人物の紹介という色彩が強い。

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| 古本読書日記 | 12:43 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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