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佐藤正午「きみは誤解している」

2冊目が、「きみは誤解している」。爺やの感想は、これ
先の記事でちょっと書きましたが、色川武大(阿佐田哲也)氏の人生経験は作品にコクを与えているらしいです。
私は読んだことありませんが(^▽^;)

IMG_8667.jpg

彼が登場(?)するのが、「遠くへ」という短編。
ある女性が「まともな競輪ファンとして目覚めたきっかけは、競輪場である人物に出会ったこと。その人と話したことで、私の人生が変わった」と思い出話をするんですね。
額が禿げ上がり、残った髪は白髪交じりの長髪で、ずんぐりむっくりという言葉を連想させる体つきの老人だったそうな。
(いねむり先生の表紙のシルエットだと、左側のほうでしょうね)
彼女は、老人が姿を消した後で、雑誌を見て「あのおじさん、阿佐田哲也そっくりだった。競輪の神様と呼ばれている人だったんだ」と気づく。
話の聞き手が、「彼女も気づいていることだろうが、彼女がその老人に出会った3年も前に、阿佐田氏は亡くなっている」と、読者に対して親切に説明してくれて、おしまい。
で、読み終えた私は、「じゃあ、彼女の会った老人は、故阿佐田氏の熱烈なファンで、髪型や眠り方や薀蓄を真似ていたんだな。でも、彼女は『神様に出会って人生が変わった』と思っているから、それでいいってことなんだな」と思った。
あとがきによると、「異色の怪談文学(ジェントル・ゴースト・ストーリー)」だそうです。
……幽霊が迷える新米ギャンブラーにアドバイスしてくれたという方が、いい話ですね。心が汚れているのかもしれないw

表題作では、「世界には三種類の人間しかいない―ギャンブルをする男としない男、そしてギャンブルをする男をたしなめる女」というくだりがあります。
収録されている最後の作品には、お金を預けたのに車券を買ってくれなかった彼氏を臆病者と罵り、五万円を百万円に増やした別の男へ乗り換える女性が出てきます。
他の話には、女性ギャンブラーも出てきます。競輪がテーマなんですが、似た話は一つもなく、結構楽しめました。

巻末に用語解説があります。
「ここで説明した競輪用語のほかにまだわかりにくい言葉が見つかったら、それは作者のせい、競輪自体のわかりにくさのせいではなく、読者の日本語の基本語彙に問題があると思われます。広辞苑を引いてください」
としめているのは余計なひと言だと思います。
ただ、確かに、知らなくてもなんとなく雰囲気がわかるよう、うまく書かれていると思います。
あ、「好きな数字の1と3と7を選んで、枠番車券で1-3と1-5と3-5を二百円ずつ買った」という文章を読んで、「どこに7が出てくるんだ? なぜ5?」とは思いました。

| 日記 | 19:01 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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