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重松清    「空より高く」(中公文庫)

重松を始めて読んだのが「見張り等からずっと」。そこから直木賞をとる「ビタミンF」までは、重松が抱える悩みや問題が色濃く反映して、そこに共感もできたので、片端から重松の本を読んだ。

 重松が生まれたのは1963年。重松が小学生になったころは、ニューファミリーの時代で、この作品でもでてくるが、大型マンション建設や宅地造成が大規模に行われ、それらがどこもかしこもニュータウン何某と命名された。ニュータウンはできた当時は綺麗で輝いていた。

 ニュータウンは、当然だが同じ世代の夫婦、家族が集まる。ということは、年月をかけ、ニュータウンは老衰してゆく。ニュータウンで生まれ育った子供たちは、成人して両親とはなれた住居に暮らす。そうなると、ニュータウンは老人ばかりになったり、空家ばかりが目立つさびれた街に変わる。
 それとともに、ネットや携帯が進化し、ニュータウンで固まって遊び生活していた人たちの生活様式がバラバラになり価値も多種多様にバラけた。
 重松は、そこに空しさと寂しさを感じ、それをどうにかしたいという思いがあり、作家になった。しかし、この問題悩みの解決は難しい。だから、重松の作品はいつも揺らいでいた。

 どこからだろう。重松が流行作家になるにつれ、この作品と同じような根っこについては語るが、揺らぐことをやめた。
 絆、癒し、希望、勇気、そして得意の涙で問題をくるむようになった。内容が以前より薄くなった。
 しかし、この作品も、くるむ重松になったのだと割り切れば、それほど悪くはない。

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| 古本読書日記 | 11:45 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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