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天童荒太   「永遠の仔 五 言葉」(幻冬舎文庫)

 物語全体を通しての感想になる。
素晴らしい作品。もう本を読むことを止めたくなる。これからいくら本を読んでもこの作品に匹敵する作品に出合うことがないように思えるから。
 それに、今は、個々人がバラバラで多種多様の生き方が尊重され、人生を真剣に追及する小説ができにくい世の中になっていることにもある。
 天童はまず真面目である。世の中を斜に構えてみたり、皮肉っぽくみることは決してない。そして真剣に社会にたいし対峙する。その眼差しは常に強く、そしてどんな人よりも深い。
 この作品のために参考にした文献が何と125冊である。こんな作品は過去出会ったことが無い。これだけでも、真剣全身全霊を傾けていることがわかる。
 この作品の260ページ。伊島刑事に対する優希の言葉
 「ときには嘘や秘密に逃げないと、耐えきれないこともありますから。」
優希、笙一郎、梁平の3人の生き様を読んでいると、ズシンとくる。
 しかし、作者天童はさらにその先、300ページ目で優希が稜平にあてた手紙で、優希にこう言わせている。
 「真実を明かすことが、周囲を辛くさせる場合にも、秘密や嘘に逃げないこと・・・
  真実を明かしたことで起こる、いっそうの悲劇や悪でさえ、受け止めて行こうとする態
  度こそが成長とよばれるものに結びつくのかもしれません。」

それから、3人の家庭がいずれも荒んでいて、3人がいつも「想像上の楽しい家庭」を思い浮かべながら懸命に生きてきたことがなんとも切ない。

 最後に優希の父親殺しについてとんでもない真実を天童は用意していた。3人の中に犯人はいない。

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| 古本読書日記 | 12:48 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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