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村上春樹   「海辺のカフカ」(上)(新潮文庫)

またまた、村上ワールド全開の作品である。そして、いつも通り言葉は平易だが、さっぱり内容がわからない。だけど読みだすと村上ワールドに引き付けられやめられなくなる。

 私たちの世界には、時間がある。時間の経過で変化が起きる。一秒前と一秒後は全く異なった世界となる。また、生きてゆくために労働、お金を得るという行為に縛られる。
 村上のいる世界は時間が無い。社会は変化しているのだが、ある時点でピタっと止まってそこから動かない世界が存在する。金や時間に縛られない世界がある。 
 
15歳の田村カフカが家出をする。高速バスを使い、見知らぬ町高松までゆく。そしてそこで次の宿泊場所が決まるまでホテルで過ごす。私のような読者は、高校生にもなっていない子供が、どうしてそんなお金を持っているのか。そんなお金が持ち出せるほど裕福な家庭なのか。どうして、家出された家族は大騒ぎしないのか、何故村上はそれを書き込まないのか。こちらの世界の人はどうしてもこんなことを思ってしまう。
 村上を読むのにそんな疑問ははさんではいけない。そんな世俗を超越して生きることができる世界が村上の世界なのだ。
 そうはいっても、全く我々の世界を超越しては、物語にならない。村上の世界で生きているナカタという老人が登場する。この老人は9歳で世界が止まってしまっている。だから、理解度、言葉も9歳のまま。簡単な字も読めない。数字は多少わかるが足し算、引き算はできない。不思議なことに猫や犬とお喋りはできる。
 こんなナカタ老人が、今住んでいる東京中野からとびでて西へ旅にでる。切符も買えない。電車の乗り方もわからない。周囲の人に聞いてみるが、周囲の人々の返答の意味がさっぱり理解できない。
 我々の世界を理解できない村上ワールドのひとたちが、我々の世界で生きてゆくのは本当に大変である。

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