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村上春樹  「ダンス・ダンス・ダンス」(下)(講談社文庫)

 大概の人は、労働か活動をしてお金を手に入れる。そのお金により、生きていくことが実現でき、更に色んな活動を支えてくれる。これが、システムであり高度資本主義社会である。 殆どの人がそこに組み入れられている。子供や主婦も、間接的に得る旦那の収入により生活ができるから、このシステムに組み入れられているとみなしてよい。
 しかし、この作品に登場する人物は、札幌のホテルに勤務しているユミヨシさん以外は、システムには組み入れられていない。俳優の五反田は組み入れられているようにみえるが、彼は彼の生活、活動、行動で自らの金は一切使わない。娼婦を買った代金さえも。そのすべてを彼が所属するプロダクションが負担する。その点では金が不要な人間。だからシステムに組み入れられていないと判断してよい。
 
 システムに組み入れられていない人間の数は極端に少ない。だから、そのままだと一人ぼっちで孤独が当たり前となる。ここに羊男なる、組み入れられていない人同士をつなぎ合わせる人間だか妖怪だかわからない者が必要となる。
 主人公の僕は、裏で関係を構築させている、羊男の操作により、組み入れられていない人々と会い、関係を結ぶ。そして、僕が結びつけてもらった人たちに魅かれ、どんどん密度の濃い関係を築こうとする。その途端、舞台がぐるっと回転して、関係した人は、この世界からすーっと消える。
 そして、そんな人たちとぐるぐるダンスをするように関係しながら、人が消えて、また消えて、そして最後に札幌のホテルの高度資本主義の中で生きているユキヨシさんのところへたどりつく。一瞬、ユキヨシさんは夢の中で消えた。しかし、目覚めたらちゃんと枕元にいた。

  私には村上が、高度資本主義社会に組み込まれていない存在だと思える。そして、主人公の僕は村上そのものだと思える。この話は異次元を扱うが、作者自身が異次元にいることで物語に異様な力を与えている。
 
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| 古本読書日記 | 11:30 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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