FC2ブログ

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

乃南アサ  「鎖」(上)(新潮文庫)

乃南アサ  「鎖」(上)(新潮文庫)
寝屋川の中学生誘拐殺人事件は、防犯カメラの威力により犯人を割り出した。最近は、こういった科学の先端をゆく防犯装置、DNA鑑定などにより犯人が捕まるケースが殆ど。この科学捜査の網をかいくぐった事件は、多くの場合が迷宮いりとなる。社会のなかで人間関係が希薄になっていることが主たる要因なのだろうが、足で稼ぐ、現場に戻る、徹底した聞き込み、そこから得る動機の解明、透徹な推理などの、従来の手法での犯人逮捕は殆ど殆ど無くなってしまった。
 しかし、ミステリー小説は、科学捜査を全面にだすのでは物語にならない。だから、必然的に古典的行動の刑事を登場させ、物語を創るが、どことなく現実とマッチしない雰囲気がでるのは否めない。
 刑事の質も変化する。足稼ぎ刑事を旧いタイプとして嫌悪する若い刑事が捜査現場に浸食してくる。捜査本部は従来同様、足で稼ぐことを刑事に要求する。若い刑事はその馬鹿らしさが先にたち、聞き込みも表面的でおざなりになる。口だけが達者だから、伝統的な捜査方法の批判ばかりする。刑事の世界では、思うに、足稼ぎ刑事が眉をひそめるような、お調子者刑事がこれからは、どんどん出世するのだろう。この作品で否定的に描かれる星野刑事のような批判型刑事が将来捜査本部を率いている姿が作品を読みながら、頭のすみにこびりついてしまっていた。

ランキングに参加しています。
ぽちっと応援していただければ幸いです。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

| 古本読書日記 | 15:01 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

COMMENT














PREV | PAGE-SELECT | NEXT