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アンソロジー   「はじまりの一歩」(実業之日本社文庫)

伊坂幸太郎、瀬尾まいこ、中島京子など7人の作家の短編集。
印象に残ったのは、福田栄一の「あの日の二十メートル」。
主人公の克彦は、志望大学を落ち、滑り止めに受けた三流大学生。学校がいやで、今は通っていない。そして、朝起きて近くのプールで泳ぐのが日課。克彦は高校の時水泳部にはいっていた。
その近くのプールに泳げない80歳を過ぎた佐山という老人が毎日通っていた。佐山は必至に頑張っているのだが、年齢もありとても泳ぎができそうもない。
 ある日佐山から誘われたカレー屋で、佐山から泳ぎを教えて欲しいと懇願された。「もうその年齢では無理」と克彦は言うが、佐山は必至に懇願する。
熱意に負けて、克彦が水泳を教える。箸にも棒にもかからない状態だが、基本を一人で佐山は何回も黙々と繰り返す。そして、ある日もう一歩で泳げるところまで佐山は成長する。ところがそこに英里子という孫娘が現れ、「医者が運動は禁止と言ったじゃないか。」と佐山をきつくしかりつける。佐山は心臓に重い病を持っていたのだ。
 その後、佐山は、孫娘に隠れ、プールも別の場所に移して、克彦から泳ぎを習う。克彦が聞く。「どうして80歳を超えてそれほどまでして泳ごうとするのか」と。
佐山が5歳のとき、兄と川に遊びに行く。兄が川で溺れる。佐山は兄を助けることができず、兄は溺れ死んでしまう。
佐山は「長い満足な人生を送ったが、兄を救えなかったことだけが悔いに残る。だから泳ぎたい。物事を始めるのに、遅すぎることは決してない。」という。克彦はそこから、一流校を目指してまた勉強を始める。
そして、佐山はとうとう20Mを泳ぐ。
 それから数か月後、克彦は街で偶然英里子に出会い、半月前佐山が死んだことを知る。佐山が死ぬ2日前、「兄を助けてやったぞ」と実に優しい顔になってつぶやいたことを英里子から聞く。

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| 古本読書日記 | 15:10 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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