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乃南アサ  「ニサッタ、ニサッタ」(下)(講談社文庫)

この物語は、2つのことを思い出させたり、考えさせたりする。
ひとつは、近所の35歳の知り合い。彼は人生のしくじりが、名門高校受験に失敗して、私立の三流高校に入ったときから始まったと信じている。高校を卒業して、お母さんがいうところの三流大学に進学する。卒業したときが極端な就職難の時代。やっと入った名も無い証券会社が、ブラックというかヤクザがやっているような会社。どこからか手に入れた個人情報を使って、電話で投資を持ち掛け金を強請取る会社。日に200軒の電話がノルマ。そこから10軒金を巻き上げるのがおきて。常に怖いお兄さんが電話の後ろを巡回して、脅し罵声をかける。最初の会社だからと思って、それでも6か月も耐えたところでギブアップ。心を痛めて、心療内科に通う。それから、アルバイトも含めついた職が13にものぼる。大概が職場仲間か上司と喧嘩してやめる。つい最近、梱包会社にバイトで採用されるが一日目で腰を痛めて首になる。何をやってもうまくいかない。それが、家族への暴力や大声をあげることに向っている。
 もうひとつは、孤独な人間がいる。しかし、たいていはずっと孤独だったわけではない。家族も友もいた。なにがしかの原因があり、気が付いたらひとりぼっちになっていたのが
普通。しかし、この世には、生まれたときから孤独が定められている人がいることをこの物語で知る。武田杏奈がそんな女性だ。
 夏川りみの「花になる」という歌は知らない。初めての経験だが、歌詞がぴったりとこの物語と溶け合う。「ニサッタ」とは明日という意味。で、この物語は明日に希望を持とうという物語ではない。今日だけは懸命に生きよう。今日は生きていれてよかった。明日なんていう将来はどうなるかわからないもの。そんな明日という意味なのである。

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| 古本読書日記 | 15:44 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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