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榊邦彦 「100万分の1の恋人」

ハンチントン病患者の父親を持つ「ミサキ」と「僕」の恋愛小説、です。
たまには勉強になるエンタメ小説もいいかなと。
あとがきでも書かれていますが、病気をただの背景にしてしまわず、病気だけに焦点を当ててしまわず、うまいバランスなのだと思います。

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前半と後半、2日に分けて読みました。
前半の時点では、ヒロインが美点だらけで、少々冷めた気分にもなりました。
美人で、頭が良くて、美しく咲くという名前通りに笑顔がステキで、優しくて、無駄な肉のないスリムな体で、かすかにバニラの香りがする。
幼稚園の劇で演じたマリア様がぴったりだったそうで、20年近くたった今も「マリアのミサキ」「僕らのマリア」と、「僕」はまぶしく見つめている。
「発症の不安を抱えながら笑顔を作っていた。症状として易怒性や落ち着きのなさがあるから、穏やかでいようと無理をしていた。喧嘩も怖くてできなかった」
という打ち明け話があるわけです。そんな彼女を、「僕」はことあるたびに抱きしめたい守りたいと思う。

遺伝病のリスクがあるうえにブスだったら、『ごめん。無理。別れよう』で話が終わっちゃうだろうなぁ・・・と苦笑いしたくなる。
美化しすぎじゃないかしら。

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半ばまで読んだところで、
・結婚の決心をしたところで終わる。
・彼女が発症し、子供を「僕」に遺して死ぬ。
・「僕」のためにと彼女が遺伝子診断を受ける。今から結果を聞くぞ、というところで終わる。
といった結末を予想してみました。
ネタバレになるので、実際にどうだったかは書かないでおきます。

彼らには、まだまだ解決していない問題がいくつもある。でも、それが現実なんだろうな。
そんな風に思う終わり方でした。

なお、作者は、デビュー作のこれと、病気による死別が使われている二作目と、二冊しか出していないそうな。
・・・そのほうがいいような気がします。こういう作風で何冊も出していたら、なんかイヤだ。安っぽい。
デビューさせた側としては、二冊で止まってしまったのは期待外れなのかもしれませんが。

| 日記 | 21:01 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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