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笹本稜平   「素行調査官」(光文社文庫)

よく練られた奥深い警察小説である。
元探偵の本郷は、高校同級生で東大法学部をでて、警察エリート官僚である入江に警察官にならないかと誘われる。そして入庁すると警視庁監察係に配属される。監察係というのは
警官の不正、不品行を摘発取り締まるところ。
 入江の指示で、本郷は、警視庁トップ警視総監を狙っている本田の不正、悪を追及することになる。人員は、本郷のほかに北本のみ。北本は定年直前。警察仕事に達観している。
 入江を含めた3人の立ち位置が微妙でいつも行動に霞がかかる。本郷は警察の膿をだすために燃えている。逆に北本は冷ややか。入江は、目的、理想は言さわやかに話すが、結局自分の出世だけが頭にあり、どこまで不正を追及するかは、出世に結びつくかどうかで判断する。
 本郷がここでつっこむぞというとき、そこまでしないほうがいいと入江が止める。だから本田への追及が右に左に揺れる。
 それともうひとつ。不正追及の過程で中国人殺人事件がおきる。その真相に、捜査課、公安部門、監察係が別々に動く。3組織は常にいがみあい、握った情報も互いに共有しない。これにノンキャリアの小松が出世のために本田を脅す。
 これらの警察組織の矛盾といびつさが、上手く絡み合って、実に面白い警察小説になっている。

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| 古本読書日記 | 16:29 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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