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井伏鱒二   「漂民 宇三郎」(講談社文芸文庫)

おったまげた。井伏鱒二はとんでもない作家である。
 本の紹介。天保9年長者丸は11人の船員をのせ、松前の港を出帆。江戸に行く途中強い西風に煽られ漂流。そこからアメリカの捕鯨船に救出され、乗組員だった宇三郎はハワイに着く。そこから、宇三郎、カムチャッカなどロシアの港を転々としながら天保14年松前に帰ってくる。
 物語は当時の資料もたくさん引用しているので、当然、実際におこった漂流をベースにして書かれた物語と思ったが、実は井伏の創造物らしい。実際に漂流はあったかもしれないが、少なくとも宇三郎は井伏が作り上げた架空の人物だそうだ。それにしては宇三郎は物語で生き生きしているし、リアリティがある。
 当然ハワイでの生活。英語などまったくできない。覚えたての英語で懸命に宇三郎がしゃべる。
 「ミー、ノーサー、ノー・スペッキ エングレッス。ショー ミー パイパ。ショー ミー ペンセル」
 私は知らない。英語はしゃべれない。紙をくれ。鉛筆をくれ。
これは井伏の創造語である。日本人が初めてであった英語は、こんなふうに聞こえたのだろうと読者になるほどとうならせる。

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