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井上荒野  「ズームーデイズ」(小学館文庫)

引きこもりとは思っていないが、それでも60代半ばになると、全く判で押したような同じ生活が毎日繰り返される。この歳になるとその生活が死ぬまで続いても、あまり不満を感じることはない。
 しかし、こんな生活が30代でやってきたらどうなのだろうか。主人公の私は30代半ばで一応職業は小説家。とはいっても一冊出版しただけで、それからは書いていない。ズームーという8歳年下の男性を実家のアパート部分で同棲している。父は2年前に亡くなっている。
普通母親は結婚もしないで、同棲している一人娘をしかりつけ、結婚するか別れて新しい男を見つけ結婚するよう迫るものである。しかし、夫を失って将来が心細くなったから、娘が同棲していようが、同じ建物に住んでいてくれるほうが心強い。だから、娘によりかかる。もう結婚などしてくれないほうが母親は都合がいい。
 家賃もなく、生活費は安月給だが、ズーニーがだしてくれる。時にこれではだめだと小説を書こうとするが、2行も書けば、だらーっとした生活に戻る。でもこのまま40歳代なったらどうなるだろうかと常に不安に襲われている。それとズーニーとは違う愛人カシキとの関係もどうなってしまうのか。
 それから7年たってズーニーと別れるときがくる。同時にカシキも失い全く一人になる。
それから10年、やっぱし別の愛人をもってだらだら生活をしている。でも、2冊目の本はだした。一旦だらーっとした世界に嵌ると、余程のことが無い限り、死ぬまでダラーっとしてしまうのが人生かもしれない。

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| 古本読書日記 | 16:35 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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