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五十嵐貴久  「相棒」(PHP文芸文庫)

幕末は小説の題材として、多くの作家が手掛けたくなる魅力的題材である。五十嵐もこの幕末に挑んでいる。人物造形もしっかりできているし、魅力的なエンターテイメント小説に仕上がっている。
 幕末では、薩長を中心とした討幕派と、会津や他藩、新撰組などの佐幕派が入り乱れていた。そして、両派の戦争は必至の情勢だった。しかし土佐藩、坂本龍馬は内乱を引き起こすことを防ごうとしていた。内乱回避は2つの目的があった。薩摩にはイギリスが、幕府にはフランスが後ろについていた。もし、内乱が起こると、彼らがそれに乗じて日本を植民地にしてしまうことが考えられていた。イギリスは世界一の強国だし、フランスは幕末時代ナポレオン全盛の時代だったのだ。もうひとつの理由は、勤皇の時代になっても、それまでの政治は幕府がおこなっていたので、有能な人材は幕府のなかにたくさんいた。彼らを新しい政府は起用しないと国家統治がおぼつかなかったという理由。
 それで、徳川慶喜は熟慮の末、内乱を避けるため、大政奉還を決意した。
五十嵐が思いついたプロットが卓越している。慶喜が大政奉還の意志を伝えるため、薩摩藩の実力者、西郷吉之助に会いに行く途中で、何者かに狙撃されそうになる。
 そこで老中の永井と板倉が犯人を2日間でつきとめるよう、佐幕、討幕どちらにも人脈のある、坂本龍馬と新撰組副隊長土方歳三に命じた。歴史上ありえない、土方、竜馬コンビの
犯人探しが開始する。このへんちくりんコンビの活躍が実に楽しく描かれる。土方がだんだん竜馬に心が傾いていく様が印象的である。
 沖田総司の死に際の病床に死んだはずの竜馬が現れるのは、賛否があるだろうが、それはそれで読者に楽しい夢をみさせてくれる。

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