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五十嵐貴久   「リカ」(幻冬舎文庫)

五十嵐貴久処女作で第2回ホラーサスペンス大賞受賞作。
インターネットというのは、個人が素っ裸になって全世界に対してさらけだしているようなものだ。しかも、この世界には、強烈な悪意が充満している。盗み、詐欺、恐喝を持った悪意の網が裸の個人をひっかけて身ぐるみはがしてしまおうと狙っている。
 私は、あまりネットに凝りはしないが、あるときありふれた名前で、中学校の同窓会開催の案内がきた。詳細のところをクリックした。そうしたら、20秒単位にわけのわからないメールが届きだした。一日数千件である。キャッシングや、懸賞金が当たったとか、競馬をふくめた賭けへの誘い、それから出会い系、エロ写真画像などである。
 どれかをクリックすると、身に覚えのない請求が来るのだろう。ネットは本当に怖い。ネット通販でいろいろ購入しているが、カード内容などの情報が盗まれ悪用されないか、この作品を読むと本当に不安になってくる。
 それから、最近の特徴なのだが、自分の論理だけで行動する人が増えてきた。自分のやっていることは常に正しく、その行動がどう見ても、異常なのだが、当人はそれが異常であることが全く意識にない。これが、嵩じると、超異常人間ができあがる。
 最近の殺人事件やいじめなどの原因のひとつに、このようなタイプの人が増えたことがあるかもしれない。
 この作品はネットの悪意と、異常人間が組み合わさるとどんなに恐ろしいことが起きてしまうのかを、鮮やかに描き出している。

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| 古本読書日記 | 16:04 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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