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海堂尊  「カレイドスコープの箱庭」(宝島社文庫)

海堂尊  「カレイドスコープの箱庭」(宝島社文庫)
会社のそれぞれの組織、業務はある見方からすれば必要不可欠にみえるが、別の見方からすれば、その機能は会社に残すほどのものではないというものが殆どである。
 例えば人事部門。幹部の異動、登用については、重役、社長の閥つくりや彼らの影響力拡大のために会社内に必要な機能となるが、平社員の異動などは、適当にやってくれても、会社には何の影響も与えない。新入社員の採用も、何も威厳めいて行っても、行わなくても、採用される人材にそれほどの差は無い。
 だから、戦略は会社で構築するが、実際の人事政策運用は、人事部門を外部委託しても構わない、それにより人事経費を削減することの方が重要。
 それで、ごっそり人事部門を本体から切り離し、子会社にしてしまう。しかし、これではただ一つの部門を切り離しただけで、多少の人件費削減は期待はできるが、現状とたいして変わらない。しかし、幾つかの企業が、まとまって新たな受け皿会社を作ろうとすると、それは事の色合いが違ってくる。
 この作品は、患者の病気が何であるかを決定する病理部門を、病院にとっては肝要な部門と考えるのではなく、必要悪と考え、病理部門にわざとスキャンダルを作りあげ、それに乗じて、市に数ある病院の病理部門をまとめた外部委託会社をつくるという話である。それがよいことなのか悪いことなのかは、私にもよくわからないが、会社の人事部門が外部委託されるのと同じくらい驚愕なことだということはわかる。

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| 古本読書日記 | 16:03 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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