FC2ブログ

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

山田宗樹   「聖者は海に還る」(幻冬舎文庫)

山田宗樹   「聖者は海に還る」(幻冬舎文庫)
最近は会社でも学校でもセラピストとか精神カウンセラーを置くところが多くなった。
また、何か不祥事が起こると、すべてのところで第3者委員会なるものを組織して真相を調べ、二度と不祥事をおこさない対策をとるようにするということが流行りだした。
 会社も過重労働で、精神的に社員を追い込むようなことがあると、労働災害に認定され、著しく会社の存在を貶められる可能性がある。学校もいじめなどの不祥事があると、学校の不適切な対応がやり玉にあげられる。ソレラハセラピスト設置や第3者委員会は、過労死や、いじめを未然に防ぐという目的より、ことが起きた場合の責任回避ための対応としてとられている。
 病気、精神的病も含め、医者は、本来人間が持つ恢復、治癒力を手助けするために、処方を行う。ところが、この作品では、精神的病の根源を、催眠療法により、脳の奥にしまいこんでしまうという治療が行われる。
 それがしまい込まれているときの人間はどんな行動、生活をするのか、逆に解き放たれるとどう変わるのかが描かれ、その危険性を提示する。
 人は元来個性が異なるもの。その個性をそれぞれが認め合い、ぶつかったり、妥協したりして成長する。一般と異なる人をすぐ問題にしてカウンセラーに解決をゆだねたり、病人として、仲間から排除したりする風潮、責任を真正面からとらえない風潮に対しこの作品は警鐘を鳴らしている。

ランキングに参加しています。
ぽちっと応援していただければ幸いです。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

| 古本読書日記 | 15:29 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

COMMENT














PREV | PAGE-SELECT | NEXT