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岸恵子  「風が見ていた」(下)(新潮文庫)

岸恵子  「風が見ていた」(下)(新潮文庫)
1968年から69年にかけての時代は何だったのだろうか。私は高校生だったから、その風に直接巻き込まれはしなかったが、風は世界で吹き荒れ、その余波は確かに私の周囲でも感じることができた。
 パリ5月革命、人間の顔をした社会主義の実現を目指した「プラハの春」、アメリカでのキング牧師の暗殺とそれに伴う大暴動、東大安田講堂の陥落。
 国家権力に対する反逆。ベトナム戦争への反対。そういえば、誰が写したか忘れたが、幼い少女がナパーム弾に背中を撃たれ、火傷を負ったまま泣き叫ぶ写真が世界を震撼させ、それがパリ学生運動の過激さに火を注いだことを思い出す。
 それでも、あの世界的ムーブメントがなぜ起きたのかは今もってよくわからない。そしてすべてが敗北に終わり、その祭のあとに世界を覆った虚脱感。そんな虚脱感のなか、私は大学生になった。サルトルがいて、アナーキスト、トロッツキストなんて言葉が流行っていた。
 この作品では、時代のうねりや躍動、そして虚脱は全く感じることはできない。それは68年、69年に起きたことをファッションとして扱っているからだ。五木寛之の作品を想起させる。

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| 古本読書日記 | 18:34 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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